子供のための歴史講座17:イギリスの変態兵器の世界

やあ~乱世乱世。第二次世界大戦下のイギリスは、ドイツの猛攻に苦しんでいた。そこで彼らは新型兵器を次々に考え出すが、それらの中には変態兵器として後世に名を残すものがたくさんあるのだ。

娘「変態兵器ってなに?」

これからの説明を聞けばわかるぞ。ちなみにイギリスといえば「変態兵器」、ドイツといえば「変態飛行機」と言われている。まずはイギリスを代表する変態兵器のパンジャンドラムだ。

※パンジャンドラム(開発に膨大な予算と時間が割かれた)

娘「これって何なの?」

車輪の中央は爆弾になっていて、車輪に取り付けたれたロケット花火に点火することで車輪が回って突撃する。しかしこんなものがまっすぐ走るわけがない。

娘「どこで使うのよ」

フランスのノルマンディで使おうとしていた。ドイツに占領されたフランスを救出するために、ノルマンディの海岸から上陸すんだが、ドイツはコンクリートの壁を海岸線に作っていた。それを壊すのがパンジャンドラムの役目だ。

娘「上手くいったの?」

イギリス高官を集めた実験で、まっすぐに走らずに暴走して、あやうく偉い人達を殺しそうになって中止になった。実験の映像も残っているぞ。


娘「あちゃ~」

開発者は「砂地がでこぼこだからまっすぐ走らない。カーペットを敷けばまっすぐ走ります」と報告したらしい。

娘「カーペットって、誰が敷くのよ!」

これで敷くんだ。チャーチル戦車 カーペットレイヤーだ!

※チャーチル戦車(他に丸太を敷く戦車もあった)

娘「なんじゃこりゃ!?」

トイレットペーパーみたいな部分がカーペットになっていて、どこにでもカーペットが敷ける恐ろしい兵器だ。

娘「なにかが狂ってる気がする」

これを大まじめにつくるところが、イギリスの変態兵器と呼ばれる所以だ。次がこのカヴェナンター巡航戦車だ。イギリス軍の要請で、可能な限り車高が低く作られた。

※カヴェナンター巡航船者

娘「これは普通の戦車に見える」

中身が違うのだよ、中身が。車高を低くするために、エンジンを後方に積んでラジエーターのパイプが操縦席の横を通っている。そのため常に中が暑くて、40度を超えていた。戦車より先に搭乗員がオーバーヒートすると言われていたんだ。

娘「熱中症になっちゃうね」

イギリス陸軍は、これを北アフリカの砂漠に持ち込んで戦おうとしていた。

娘「バカじゃないの!?」

ちなみに北アフリカでは誰も乗ろうとしなかったそうだ。次はアーチャー対戦車自走砲だ。これも一見普通に見えるが、左側が前で右側が後ろになっている。

アーチャー対戦車自走砲

娘「んん?なんか逆じゃない?」

これでいいのだ。この形なら、待ち伏せして大砲を撃って、そのまま逃げられるのだ。

娘「ふーん、じゃあこれでいいんだ」

問題は、この大きな大砲だ。撃つと大砲の後ろの部分が運転席まで飛び出してくるので、乗ったまま撃つと運転手が死んでしまう。だから撃つためには運転手は降りないといけなかった。撃ったらすぐに乗り込んで逃げるのだ。

娘「欠陥じゃない!」

欠陥に気がついたのは作った後なのだから仕方がない。これは600台以上作られて、優れた兵器だったことにイギリスではなっている。

娘「なんか、おかしい。戦争に勝っているから変な物を作るのかな?」

違う!違うんだよ。イギリスはドイツの猛攻にあって劣勢だったんだ。だからイギリスは限られた資金と資源を使って、優れたドイツの兵器に対抗できるものを作ろうとしたんだ。

娘「それが、これなの?」

残念なことに、これなんだ。ちなみに軍事オタクの間では、変な兵器ができると「英国面に落ちた」と言われる。

娘「イギリスって、こんなのばっかりなの?」

まともなものもあるけど、変態兵器はまだまだあるから、また今度教えてあげるよ。

娘「変態兵器を知って、何か役に立つの?」

役に立つはずがない。

娘「パパの話って、ほとんど役に立たないよね」

役に立つ話が必要なら本屋に行けばいいさ!役に立たないからこそ、面白いんだ。娯楽は大抵が役立たずだけど楽しい!

娘「役に立たない話をしている時が、一番楽しそうだもんね!」


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