子供のための歴史講座13:鉄仮面伝説
いや~乱世、乱世。時は1669年、場所はフランス。日本では江戸幕府に第四代将軍の徳川家綱がいた頃だ。鉄仮面で顔を隠された謎の男がバスティーユ監獄に籠城されていた。名前も顔もわからないこの男は、鉄仮面伝説として後生に語り継がれるのだ。
娘「知ってる!ママが『おまんら、許さんぜよ』って言ってた!」
それは「少女鉄仮面伝説」といってな、今や中高年にしか通じない話だから忘れていいぞ。今日は歴史の話だ。
※懐かしいと思う方は、それなりの年齢です。 |
娘「何をして捕まった人なの?」
それはわからない。どこの誰で、何をしたのかもわからない。なぜ捕まったかも謎だ。
娘「ふーん」
その囚人は特別で、監獄長が直々に世話をしていた。他の囚人とは隔離されていて、時々偉い人が面会に来たりしていた。
娘「じゃあ、鉄仮面も偉い人なんだ」
偉い人か、偉い人に通じた人物だったのは間違いない。そして約30年間も幽閉されたあげく、牢屋で亡くなると関係書類は全て破棄された。あまりに謎が多いので、さまざまな説が浮上する。
娘「本当の国王が捕まえられていて、王様が偽物だったとか」
そういう説もある。当時はルイ十四世の時代だけど、例えば「鉄仮面の秘密」という本では政権を奪われるのを恐れたルイ十四世が、双子の弟を幽閉していたとしている。レオナルド・ディカプリオが主演した「仮面の男」は、この本が元ネタだね。
※仮面の男のポスター |
娘「王様と同じ顔だから、仮面をしていたわけね」
そういうこと。しかしこの説は信憑性が低い。この他諸説を挙げればきりがないほど、噂や都市伝説は溢れている。しかし最近になって、いろいろわかってきたことがある。
娘「正体がわかったの?」
まず、いつもマスクをしていたわけではなく、人に会うときだけマスクをしていた。
娘「まあ、マスクをしていると不便だしね」
さらにマスクは鉄製ではなく布製だった。
娘「布仮面!?」
そして最近になって、カリフォルニア大学のソンニーノ教授がこの男の正体について結論を出した。マザラン枢機卿の会計係の男だというのだ。
娘「誰?」
マザラン枢機卿はルイ十四世の元で総理大臣を務めた人だ。マゼラン枢機卿は莫大な資産を持っていて、某所から多額の入金があった。この会計係はその金の出所が英国王室で、マゼラン枢機卿がイギリスを騙して大金を得ていたことに気づいたらしい。
※マザラン枢機卿 |
娘「ふーん。それなら殺しちゃえばいいのに」
そうなんだよ。この説だと、逮捕して顔を隠すなんて目立つことをしなくてよくて、適当な罪をかぶせて死刑にしてしまう方が、当時としてはあり得るんだよね。
娘「じゃあ、会計係じゃないってこと?」
それはわからない。ソンニーノ教授の調査はかなり綿密で、この会計係が正体という可能性は高いらしい。
娘「じゃあ、捕まえられた理由は他にあるのかもしれないね」
そうだね。それは今後の調査に期待しよう。ここで大事なのは、鉄仮面伝説は当時のメディアや小説家達が面白おかしく伝えたために、真実と虚構がごちゃまぜになって後生に伝えられたことだ。
娘「まあ、そんなものだろうね」
フィクションと真実は分けて考えないといけないけど、今だってごちゃ混ぜになっているから気をつけないといけないね。
娘「真実はいつも一つ!」(名探偵コナン風)
にほんブログ村
コメント
コメントを投稿