子供のための歴史講座10:五一五事件

注)この記事は以前のブログの転載記事です。

やあ〜乱世乱世。時は1930年、日本海軍に激震が走った。ロンドンの海軍軍縮会議で、首相の若槻禮次郎が海軍力を削減することを認めた。日露戦争の日本海海戦に勝利し、ヨーロッパ列強の脅威に備えていた日本海軍は怒った!

※若槻禮次郎

娘「若槻さんは、平和な人なの?」

平和かどうかより、日本はお金がなかったんだ。日露戦争の借金もあったし、諸々の出費が多くて金欠だったから、世界的な軍縮は歓迎だった。だから岩槻首相がいる立憲民政党は、軍縮の方針だったんだ。

娘「ふーん」

そこで海軍の若手将校だった藤井斉は、仲間を集めて決起を決意する。具体的には若槻禮次郎の暗殺だ。ところが藤井は上海事変に出動し、「あとは頼んだぞ」の遺言を遺して戦死してしまう。

娘「じゃあ、若槻さんの暗殺は無しだね」

ところがそうはいかない。同士の無念の死を前に、仲間達は何がなんでもやり遂げると誓ったのだ。ところが世間では選挙が行われて、立憲民政党が負けて犬養毅が首相になった。

※犬養毅
娘「よかったね。若槻さんは無事だ」

それが収まりがつかないんだ。首相の暗殺を誓った藤井は無念の死を遂げた。あとを頼むとも言われた。だから首相の暗殺はやり遂げないといけない。

娘「犬養さん、関係ないじゃん!」

関係ないけど関係あるのだ。首相を暗殺すると決めたから、藤井のために実行するしかない!!

娘「めちゃくちゃじゃん!」

1932年5月15日、まず海軍中尉の三上卓が警備の警察官を射殺して首相官邸に侵入する。食堂にいた犬養毅を発見すると、即座に引き金を引いた。しかし弾が入ってなかった。

娘「はぁ?弾がない?」

犬養は「話せばわかる」と言って、三上を応接室に連れて行き、これからの日本について話して聞かせようとした。その時に裏口から侵入していた黒岩勇が現れた。犬養は「話せばわかる」と言ったが、黒岩は「問答無用!」と、犬養のお腹に銃弾を浴びせた。

娘「なんだ、この話は」

銃声を聞いた女中さんが駆けつけると、犬養は「今の若いもんを連れて来なさい。話せばわかる」と言った。

娘「うん、話せばわかる話」

そして犬養毅は息を引き取った。これが五一五事件だ。このあと立憲政友会の本部や警視庁も襲われたんだけどね。

娘「結局、海軍の人は何をしたかったの?」

藤井斉のために首相を暗殺したかったんだ。

娘「それが日本とか海軍の、なんになるの?」

知らん。藤井斉の弔いにはなった。

娘「えーーーー!?」

なんだかパッとしない話の割に、首相が死んだり現役の軍人が決起したりで、事件のインパクトは大きかった。国民の間で犯人達の助命運動が起こったり、軍事内閣の誕生に繋がったりで、後々大きな影響を与えたんだ。

娘「とりあえず、話はよく聞こう」

うん、話せばわかるしね。


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