子供のための歴史講座15 キスカ島救出作戦
やあ〜乱世乱世。時は1943年。太平洋戦争で、日本は苦戦を強いられていた。キスカ島には陸海軍合わせて6000人の兵隊さんがいたけど、近くのアッツ島をアメリカに占領されて、孤立してしまった。増援どころか食料も届けられなくて、占領されるか餓死するかになってしまった。
※キスカ島はアリューシャン列島の小島です。 |
娘「すぐに助けないとダメじゃん」
助けることにしたぞ。だけどアッツ島からアメリカの攻撃が激しくて、キスカ島に近づけないんだ。救出にも犠牲者が出るから、陸軍も海軍もやりたがらない。押し付け合いになるんだ。
娘「サイテー」
あれこれあって、海軍が救助部隊を出すことになる。司令官に選ばれたのは、大酒飲みで口ひげが強烈な木村昌福(まさとみ)少将だ。通称ショーフクと呼ばれた少将は少し変わった人で、周囲の批判や上司の苛立ちを前にしてもマイペースな人だった。
※ヒゲがトレードマークです。 |
娘「どうやって助けるの?」
キスカ島に濃い霧が発生したら、正面から島に上陸して救出するんだ。霧がないと空爆を受けて、救助隊も全滅してしまう。では霧が発生するのかというと、こればかりは行ってみないとわからない。そして行ってみたら霧がなかなか出ずに、燃料が少なくなったので帰ってきた。
娘「失敗なの?」
そう、失敗だ。これに軍の司令部は怒る。「なぜ突撃しない」「重油を無駄遣いしただけだ」「今すぐキスカ島に突入しろ」と大騒ぎするが、ショーフク少将は気にせず囲碁や釣りをしながら霧を待っていた。
娘「怒られないの?」
ショーフク少将は、怒られたぐらいじゃ気にしない人だったんだ。そして霧が出ると予報が出たので、救出隊が出撃する。霧が深くなったところでキスカ島に突入すると、運良く霧が一時的に晴れた。約6000人の兵隊さんを収容して島を離れる頃には、また霧が深くなった。こうして1人の犠牲者も出さずに救出できたんだ。
娘「運が良かったんだ」
そう、運が良かった。だけど「さっさと突入しろ」という偉い人たちの命令に反しても、一番良いタイミングを我慢強く待ち続けたショーフク少将の決断力も大きい。そして一番大事なのは、アメリカに気づかれることなく脱出できたことだ。アメリカは、日本兵がまだキスカ島にいると思っているんだ。
娘「ビックリしただろうね」
アメリカは日本兵がいると思って、大部隊を上陸させた。おっかなびっくりで深い霧の中を上陸したので、味方同士で撃ち合いが始まってしまった。
娘「え?!」
極限の緊張状態では、敵も味方もわからなくなるみたいだ。とにかく味方同士でバンバン撃ち合って、なんとか日本軍の基地まで辿り着いたら、建物になんか大きな字で書いてある。日本語がわかる人に読んでもらうと「ペスト患者収容所」と書いてあった。
娘「ベストってひどい病気だよね」
その通り。それを見たアメリカ兵はパニックになってワクチンを発注して大騒ぎになった。実は日本の医者のイタズラで、ペスト患者なんかいなかったんだ。
娘「間抜けだぁ」
アメリカでも「最も実践的な上陸訓練」って皮肉られているよ。アメリカは同士討ちで100人以上の死者が出て、なぜか駆逐艦が大破している。
とにかくショーフクの決断力が素晴らしいね。この人は敵味方関係なく命を大事にしたし、判断は冷静だし、何より運が強かった。もっと評価されていい人だと思うよ。
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