子供のための歴史講座16:ピョートル1世
娘「皇帝に向いてないって、どういうこと?」
政治に関心がなく、男友達と遊ぶのが好きだったんだ。そもそも生まれた時には、すでに2人の兄と5人の姉がいたから皇帝になるはずじゃなかった。父親が死去すると、年長の兄が皇帝に即位するけどすぐに死んでしまった。もう1人の兄を皇帝にしようとするけど、精神障害があって無理だった。そこでピョートル1世が皇帝になった。
娘「ふーん、ラッキーな人だね」
ところがそうでもない。皇帝になった途端、クーデターが起きて追放されてしまう。命は奪われなかったが、モスクワ郊外に母親と隔離されてしまうんだ。
娘「落ち込んだろうね」
ところが、ピョートル1世は外国人村に出向いては友達を作り、毎日戦争ごっこをして遊んでいたんだ。男友達をたくさん作って、馬鹿騒ぎの毎日だ。
娘「なんか、たくましい」
ピョートル1世にとっては、堅苦しい宮殿よりも、こっちの方が楽しかったみたいだ。ところが再びクーデターが起こり、ピョートル1世は皇帝に担ぎ出された。
娘「残念!もう、遊べない!」
ところが、皇帝の仕事はお母さんに任せて、相変わらず外国人村に行ってしまう。再び戦争ごっこに馬鹿騒ぎの毎日だった。
娘「テキトーな皇帝だね」
しかし、この馬鹿騒ぎ仲間から腹心を得ることもできたし、生涯共に戦うのはこの時の仲間だから、人生何があるかわからない。そして母親が亡くなると、さすがに遊びまわるわけにもいかず、皇帝の仕事を始めた。
娘「やっとかよ」
当時のロシアには海軍がなく、ほとんどの港はオスマン帝国に抑えられていた。ピョートル1世は海軍の編成が急務だと感じて、ノウハウを学ぶために250名もの使節団をヨーロッパに派遣する。ピョートル1世も、偽名を使って使節団の一員になった。
娘「この皇帝、何やってんの?」
仕事をしているのだ。オランダでは船大工の修行を積み、病院や植物園などでヨーロッパ文明を学んだ。さらに歯科医師の修行も積んで、抜歯技術を習得した。
※船大工として活躍する皇帝(左の足を台に乗せている人物) |
娘「それ、皇帝の仕事じゃないよね」
ちなみにピョートル1世の帰国後、ロシアの宮殿では「歯が痛い」と言うのは禁句になった。そんなこと言おうものなら、ピョートル1世が「手当をしてやろう」と言って、抜歯の道具を持ってきて、歯を抜いてしまうのだ。
娘「今のところ、皇帝らしさかゼロだね」
そんなことないぞ!ピョートル1世は身長213cmで、怪力の持ち主だったから誰もが恐れた。さらにタバコケースから家具まで自作する器用さで、花火まで自分で作って打ち上げていたんだぞ。
娘「それって、ただの労働者じゃん」
うん、大抵の他国の王族は、ピョートル1世に会うと、その多芸さに驚かされていた。確かに皇帝らしくない人物だったのは間違いない。その一方で、大北方戦争で勝利をおさめ、進軍してきたスウェーデン軍を返り討ちにし、ペルシャ帝国を攻めてカスピ海周辺の領土を手に入れた。
※北方大戦争 |
さらに国内では近代化を急ピッチで進め、ヨーロッパの文化を取り入れていった。軍隊を強化して、暦を西暦に変え、貴族の身分制度もヨーロッパ風にした。さらに官営工場の設立など、財政出動で国内経済を活性化したのだ。
娘「そこは皇帝っぽい」
ピョートル1世は異色の皇帝だから、当時も今も評価が分かれる。ちなみにプーチン大統領は、ピョートル1世を深く尊敬していて、肖像画を飾っている。
娘「だからプーチンさんは、バイクに乗ったり狩りに行ったりしてるんだ」
そうかもしれないね。プーチンさんもバイク、釣り、柔道、ピアノ、アイスホッケーと多芸な人だからね。
娘「プーチンは可愛い奴だな!」
なんで上から目線なんだよ・・・
娘「プーチンは可愛い奴だな!」
なんで上から目線なんだよ・・・
コメント
コメントを投稿